事業内容

「インクルーシブアートコーディネーター養成講座」開設に向けたプロジェクト

目的
・アートを核に、視覚障害者と晴眼者の垣根を超えた新たな学びの場を創造するとともに、共生社会における文化芸術活動を推進する人材育成のため「インクルーシブアートコーディネーター養成講座」の創設・普及を目的とする。   
・視覚障害者と晴眼者の交流を軸に、障害の有無にかかわらず誰でもが楽しめる展覧会やワークショップの試みを群馬県内の美術館をつなぐように毎年開催することで、群馬県全体をカバーする共生社会の実現を目指す。各美術館の枠を超えたネットワークづくりを構築することで、群馬県内の視覚に障害のある人をつなぎ、文化芸術活動を推進する基盤をつくる。また、その過程を記録、公開することで他県の美術館及び視覚に障害を持つ人に参考としてもらう。
・アートを通じた共生社会を実現するためには、文化芸術活動を推進する人材育成が欠かせない。当プロジェクトでは、共生社会における文化芸術活動を推進する人材育成が可能となるように5年をかけて「インクルーシブアートコーディネーター養成講座」を群馬県内で整えることを目標としている。
・これは、リカレント(社会人の学び直し)教育の視点も踏まえ、群馬大学及び同大共同教育学部美術教育講座、同学部特別支援教育講座を中心とした授業並びに公開講座、行事等の学習により資格を与える制度を構築するものである。具体的には、アートの社会的意義や可能性を考察検証する大学の授業や実地体験などを通じインクルーシブな展覧会を企画実践したり、ワークショップや講義に参加するなど、学生だけでなく一般の参加者も交えながら専門的な知識を持った人材を育成する。さらに、これらの研修を積み一定の知識と経験を習得した受講者にその資格を認め、授与する認定制度を設立し整備することで、広く社会で活躍できる人材育成を実現させる。これを「群馬モデル」として確立、全国に普及させていくことも目標とする。                                                                                      
・これらの活動を展開することで、あらゆる人の文化芸術活動を推進する共生社会の実現に寄与貢献しようとするものである。

趣旨・目的
●視覚障害者のための芸術活動を創造することの重要性を共有し、それを社会に向けて発信していくことが活動の基盤となる。単に一方通行的な視覚障害者のサポートということではなく、視覚障害者と晴眼者が共に創り、楽しみ、互いに学び合う場としての環境創造のための事業である。
●令和5年度は、群馬大学での「インクルーシブアートコーディネーター養成講座」創設に向けての第一段階の活動年であるとともに、「触れる彫刻展」などの誰でも楽しめる展覧会、ワークショップの開催、図録制作を通じて大学、企業、一般社団法人、点字図書館や美術館等関係諸団体の結びつきを強めることに注力する年度となる。
●「インクルーシブアートコーディネーター養成講座」は全国に先駆けて群馬大学が開設しようとしているもので、見えない人、見えにくい人、見える人、すべての人がアートを楽しむための環境づくりを支える人材育成を目的としている。具体的には群馬大学の教員が、学生、美術や福祉に関心を持つ社会人を対象に、触覚の特性や弱視の人の見え方、対話型鑑賞の方法、鑑賞サポート、視覚障害者のアート制作の現状等を、集中講義や公開講座等を通じて講義。教室で学ぶだけでなく、フィールドワークなどの行事授業も積極的に行い、これらも履修ポイントとする。ここには、学生が社会人と一緒に学ぶことにより知的好奇心が刺激され、より学びを深めることへの期待もある。受講修了者には履修証明書を発行する。最終目標として、群馬県による「インクルーシブアートコーディネーター」認定制度を目指す。資格として認定されることを広く周知、社会的に共有することで、美術館、博物館、市町村役場、公民館や福祉施設等へ就業しやすくすることも目標とする。さらに、同認定制度を「群馬モデル」として全国へ普及することも視野に入れて活動を続ける。
●この取り組みの第一段階として「インクルーシブアート研究会」を本年度スタートさせる。年5回、全盲の彫刻家、元群馬県立盲学校長や教員、全盲の美術愛好家等を講師に、学習会を開催する。参加者は視覚障害者、大学生、美術館学芸員、美術館ボランティア、美術や福祉に関心のある社会人等。研究会開催の告知及び参加者募集は地元紙、県内市町村広報誌やネットなどを通じて行う。遠隔地の人が参加しやすいようにオンライン授業も行う。参加者には受講証明書が発行される。この研究会の内容を文書にまとめ、群馬大学の「インクルーシブアートコーディネーター養成講座」のカリキュラムの参考資料や教材にする。
●展覧会開催については、群馬県中之条町で開催される国際現代芸術祭「中之条ビエンナーレ2023」、群馬県立館林美術館で行われる彫刻展に参加する。いずれも視覚の状態に関係なく誰でも楽しめる「触れる彫刻展」となる。
●障害のある人たちと地域社会をアートでつなげるため、令和5年度に群馬県が設置する予定の「ぐんま障害者芸術文化活動支援センター」との連携を視野に入れた活動も令和5年度から始める。これは、長期にわたる事業の中で、現在主に取り組んでいる視覚障害者とアートをつなぐ活動だけにとどまらず、幅広いインクルーシブアートの可能性を探っていこうとするものである。

意義
●視覚に障害があっても美術作品を鑑賞したり制作をしたい、という声を受け止め、実現させるための活動が本事業である。視覚障害者にとっての美術鑑賞とは、「触れて感じる」「晴眼者と会話をしながら作品世界を感じる」ことである。しかし、どの美術館も会場内で話し続けることをあまり歓迎していない。触れることに関しては、美術作品の収集、保護等を目的とする美術館ではそもそも受け付けていない。視覚障害者にとって美術館は遠い存在となっているのが現実である。作品の制作の場もまた、視覚障害者には身近なものとは言い難い。ある全盲の方の「陶芸をやりたいがどうしていいのか分からない」という言葉は重い。 
●この、開いてしまっている視覚障害者とアートの距離を縮めるのが本事業の趣旨であり目的である。本事業で推進する「インクルーシブアートコーディネーター養成講座」は群馬県が全国に先駆けて行う取り組みである。「群馬モデル」を確立し、論文発表などを通じて全国に広げ普及させること、それが国の委託事業として実施する意義である。 
●本事業では新たなアートの可能性に着目し,「インクルーシブアートコーディネーター養成講座」の確立を目指すとともに、触れる彫刻展の継続開催を通じて群馬県並び他県の美術館との連携も模索していく。
●2015年の国連サミットで加盟国が全会一致で採択した「持続可能な開発目標(SDGs)」に日本も積極的に取り組み始めている。「誰も差別されない平等な社会」実現に向け、本事業の成果が群馬県から全国へ広がり、日本の開発目標、世界の開発目標の下支えになっていくことと思われる。


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