視覚障害者と晴眼者のための共生芸術活動環境創造プロジェクト実行委員会

・群馬大学共同教育学部美術教育講座と、全盲の彫刻家が代表を務める一般社団法人メノキの連携で本プロジェクトはスタートした。
・群馬大学共同教育学部美術教育講座はこれまで、美術を通じ、誰もが排除されることなく社会に参画できることを意味するインクルーシブな取り組みを続けてきた。今後も視覚障害者他への美術教育の可能性や必要性に貢献できるよう継続・発展させていく方針である。その取り組みの一つとして、障害者の芸術環境を創造するための人材育成となる「インクルーシブアートコーディネーター養成講座」開設を目指している。
・一方、一社メノキは、代表である木彫作家・三輪途道(みわみちよ)氏が、全盲となったことで見えてきたものを社会に還元したいとライター、編集者、デザイナーら4人とともに2021年11月に立ち上げた。三輪代表は目の難病である網膜色素変性症を約15年前に発症。その後徐々に視力が低下し、2021年、完全に光を失った。しかし、創作に向かう意欲は変わらず、木を粘土に替えて作品を作り続けている。「見えなくなった彫刻家」となった三輪代表だからこそ“見えてきたもの”、それは、視覚障害者自身のアート創作活動や鑑賞方法などが十分に確立されていないという現実だった。
・この現状を受け、「視覚障害者とアートをつなぐ活動」にすぐさま着手した一社メノキは、群馬県立点字図書館の協力を得て、視覚障害者が置かれている美術鑑賞環境などについての学習会やワークショップを開催した。同時に、群馬県内の芸術活動を支援する公益社団法人「企業メセナ群馬」に協賛を呼び掛けた。その結果、(株)ヤマト(建設)、(株)朝日印刷工業(印刷)、(株)ジンズ(眼鏡)=すべて前橋市=の3社の協賛を得られた。
・目指す方向を同じくする群馬大学共同教育学部美術教育講座は一社メノキと連携し、協働しながら、地域のなかでアートを通じた共生社会への取り組みを進めてきた国際現代芸術祭「中之条ビエンナーレ(群馬県中之条町で隔年開催)」を企画運営している「中之条ビエンナーレ実行委員会」も連携の輪に加わった。こうして2021年12月、群馬大学を核に、一社メノキ、協賛企業、中之条ビエンナーレ実行委員会で作る「視覚障害者と晴眼者のための共生芸術活動環境創造プロジェクト実行委員会」がスタートした。翌2022年12月には「アーツ前橋」、富岡市立美術博物館・福沢一郎記念美術館が合流した。同時に群馬県立館林美術館、群馬県立点字図書館の協力も取り付けた。実行委員長には、障害者のアート活動を長年にわたり支援している版画家で元群馬県立盲学校長の多胡宏氏が就任した。群馬大学を中心に、同プロジェクト実行委員会が本事業を継続して推進していく。 


「視覚障害者と晴眼者のための共生芸術活動環境創造プロジェクト」実行委員長 多胡 宏

展覧会の写真

盲目の彫刻家・三輪途道氏が代表を務める一般社団法人メノキを中心に、2022年秋に触って作品鑑賞できる「ミルコト ミエナイコト サワルコト」展を開きました。様々な人達で作品を鑑賞する取り組みが成果をあげただけでなく、これまで見過ごされがちだった視覚障害者の表現することへの不安を取り除き意欲を高めました。この度のプロジェクトで、さらなる成果と発展が得られることと期待しております。


視覚障害者と晴眼者のための共生芸術活動環境創造プロジェクト実行委員会
実行委員長 元群馬県立盲学校校長・現群馬大学非常勤講師  多胡 宏
委員/群馬大学共同教育学部 林 耕史・郡司 明子・市川 寛也(美術教育講座)、中村 保和(特別支援教育講座)
株式会社ヤマト 代表取締役社長執行役員 町田 豊
朝日印刷工業株式会社 代表取締役社長 石川 靖
株式会社ジンズ 代表取締役CEO 田中 仁
中之条ビエンナーレ 総合ディレクター 山重 徹夫
前橋市立美術館「アーツ前橋」
富岡市立美術博物館館・福沢一郎記念美術館                   
一般社団法人メノキ 三輪 途道(代表理事)、福西 敏宏(副代表理事)、富澤 隆夫(理事)、立木 寛子(理事)、寺澤 徹(幹事)

協力
群馬県立館林美術館、群馬県立点字図書館


2022年の取り組み
「ミルコト ミエナイコト、サワルコト すべての人の感じる彫刻展」を同展共催の(株)ヤマト本社1階ギャラリーホール(前橋市)で2期にわたり開催

○前期 2022年10月3日から29日 三輪途道個展 

○後期 11月7日から12月3日 彫刻家6人(カナイサワコ、齋木三男、野村たかあき、林 耕史、丸尾康弘、三輪途道)と群馬大学教育学部美術専攻彫刻研究室学生による「グループ展」 出品総数33点すべてが手で触れて鑑賞できるという、ギャラリーで行われた彫刻展としては全国でも例を見ない大規模な「触れる彫刻展」となった。両会期中、全盲の人を含む延べ約1500人(ワークショップ、対談などのイベント含む)が来場した。期間中行われたワークショップ、対談、アーティストトークなどは次の通り

○ワークショップ 「見えない人、見えにくい人、見える人が一緒に鑑賞するにはどんな方法があるか考える」前期10月1日(参加者38人)後期11月15日(参加者35人)
○いろいろ観賞会 「見えない人、見えにくい人、見える人、誰でも参加できる鑑賞会」前期10月8日(参加者22人)、後期11月12日(参加者18人)
○対談 見えなくなった彫刻家・三輪途道と多胡宏(版画家・元群馬県立盲学校長)「見えない人が表現すること」10月22日、三輪途道と伊藤亜紗(東京工業大学科学技術創成研究院未来の人類研究センター長、リベラルアーツ研究教育院教授・美学者)「見るって何?」10月29日他3回開催 トータル201人参加
○アーティストトーク 「齋木三男(石彫)と三輪途道」11月19日、「カナイサワコ(現代美術作家)と丸尾康弘(木彫)」11月26日、「林 耕史(木彫)と群馬大学教育学部美術専攻彫刻研究室学生」12月3日 トータル112人参加
○同彫刻展カタログ800部作成

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