展覧会スケジュール

「ヒューマンビーイング―藤野天光、北村西望から三輪途道のさわれる彫刻まで」





2024年1月27日(土)~4月7日(日)
休館日:2月12日を除く月曜日、2月13日(火)
開館時間:9時30分~17時(入館は16時30分まで)
会場:群馬県立館林美術館
観覧料:一般620円(490円)、大高生310円(240円)
  ※( )内は20名以上の団体割引料金 ※中学生以下、障害者手帳等をお持ちの方とその介護者1名は無料 ※群馬県在住の65歳以上の方は平日のみ2割引
主催:群馬県立館林美術館
   群馬県館林市日向町2003 Tel.0276-72-8188
ウェブサイトURL https://gmat.pref.gunma.jp/
協力:館林市、群馬大学、一般社団法人メノキ


本展は、群馬県立館林美術館の所蔵作品に他所蔵者からの借用作品を加えた彫刻や油彩画、版画作品により、美術表現の基本といえる人物像に焦点を当てた展覧会です。表現へのアプローチは時代によって、国によって、作家の個性によってもさまざまです。近代から現代にかけての作家たちが人の姿に託して表現しようとしたものをさぐってみたいと思います。
彫刻家にとって人物像の表現は、特に主要なテーマといえます。それは、彫刻という概念が、人間中心の西洋思想の中で育ったものであるということに起因します。特に、物をよく見てその本質をさぐろうとする「写実」を大切にする作家たちにその傾向は顕著です。そこで、本展の彫刻作品では3人の彫刻家に焦点を当てて紹介します。まず、館林に生まれた藤野天光(1903-1974)と、師の北村西望(1884-1987)の作品を共に展示します。戦前からダイナミックな男性像で官展を牽引し、東京美術学校教授としても活躍を見せていた北村西望に憧れを抱いた藤野天光は、師と共に帝展、戦後は日展で活躍、さらに生まれ故郷の群馬県展と、アトリエ・住居があった千葉県展でも精力的に活動しています。今回は、表舞台の記録に残る大型作品ばかりでなく、石膏で作られ彩色された頭像や小品、木彫などの仕事にも注目し、彫刻に向き合う素顔の部分も追求します。
生まれ故郷の下仁田で、自らの生活に根ざして人間をみつめる三輪途道(1966-)もまた「写実」を追求する彫刻家です。1999年から2000年にかけて制作された初期の3体の半身木彫からは、静かな佇まいと作家がよく知るモデルの豊かな表情を見ることができます。同年、自らの幼い頃を思い起こして彫った自刻像《SELF》を制作、2003年には下着姿で座布団にあぐらを組む父と傍らに座る母の飾らない日常の姿を親子ならではの距離感で表現しました。観る者はまるで実家の茶の間を覗くようななつかしさにとらわれます。
病気で目が見えなくなってからの三輪途道は、2021年より木を彫る仕事から粘土と漆を用いた脱乾漆の技法で作品を作るようになりました。その支えとなったのが、幼い頃に飽きずに遊んだ泥団子作りの体験です。《SELF》時代と今をつなぐ粘土の手触り。漆の表面に伝わる凹凸とした触感やおおらかで力強い形態把握もまた、異なるアプローチによる「写実」的な人物表現です。写すのは目で見える世界のみとは限りません。目のみが作品を理解するわけでもありません。三輪の表現を手で触れて鑑賞することができる作品が次々と生み出されています。こうした鑑賞体験は、目の見える人も見えない人も共に楽しむことのできる場となるでしょう。
実際に触って鑑賞できない絵画作品であっても、目が見える人と見えない人が対話を重ねることによって、作品鑑賞を楽しみ、お互いを理解することで世界を広げていくことができるかもしれません。今回の展覧会が、ワークショップやボランティアの協力を通して、あらゆる人に鑑賞活動の場を提供する展覧会となることを願っています。




関連イベント

さわっておしゃべり鑑賞タイム

2月4日 (日) 18日 (日) 3月2日 (土)16日 (土) 各日 13:00 ~ 16:00 会場: 展示室1 [申込不要 要観覧料]

全盲の彫刻家・三輪途道の彫刻作品を触って鑑賞します。インクルーシブアートコーディネーター学習会&研究会の受講者や美術館のボランティアたちと一緒におしゃべりしながら鑑賞します。 自由な時間にご参加できますので、お気軽にご来場ください。



映画 「手でふれてみる世界」上映会&トーク

2月11日(日・祝) 14:00~16:00 会場: 講堂 [申込不要・無料・先着 130人]

手から伝わる世界のかたちとはイタリアのオメロ触覚美術館を創設した視覚障害の老夫妻を中心に展開するドキュメンタリー映画。視覚優位の美術鑑賞から解放され、作品 に触れる美術館の活動は、インクルーシブな学びの場にどのような可能性をもたらしたのか。1時間ほどの上映後、監督/ 岡野晃子と彫刻家/ 三輪途道のトークを行います。



ワークショップ 「見えない人、見えにくい人、見える人が一緒に作品鑑賞」

2月17日 (土) 10:30~12:00 会場: 展示室1など [要申込 要観覧料 先着30人]

視覚に障害のある人たちと晴眼者が一緒に彫刻作品を触って鑑賞するワークショップです。インクルーシブアートコーディネーター 学習会&研究会の受講者美術館のボランティアがサポートします。当日は出品作家の三輪途道も参加します。また、群馬県の郷土かるた「上毛かるた」の図柄を簡略化し凹凸を付けた絵札を使って、ゲーム感覚のかるた大会も行います。
<申込方法>群馬県立館林美術館のHPをご覧いただくか、直接お問い合わせください。
https://gmat.pref.gunma.jp | TEL: 0276-72-8188 (代表)



スモール・ライヴ・セッション 「音のスケッチ 彫刻をみる/音楽でみる」

2月17日 (土) 14:00~15:00 会場 : 展示室1 [申込不要 要観覧料]

演奏: 林 耕史(彫刻家・群馬大学教授)、 菅生千穂 (クラリネット奏者 群馬大学准教授)
三輪途道の作品(展示室1)に触れながら音楽を楽しみます。彫刻家と音楽家、視覚、触覚と聴覚のコラボでどんな景色が見えてくるでしょうか。

ワークショップと音楽ライブ バスツアー

ワークショップと音楽ライブに合わせ、バスの運行を行います。
日時:2月17日(土)
定員45人(障害のある方優先・無料)※入館料、昼食代は別途



詳しくはこちらから






中之条ビエンナーレ

日程 2023年9月9日(土)〜10月9日(月・祝)
時間 午前9時30分~午後5時
会場 群馬県中之条町 町内各所
内容 温泉街や木造校舎など町内各所で多彩なアート作品の展示、演劇、パフォーマンス、マルシェなどを開催
パスポート 当日1500円 / 高校生以下 鑑賞無料
ウェブサイトURL https://nakanojo-biennale.com/


中之条ビエンナーレ イベントワークショップ

● 9/10[日]13:30ー15:00 「障害者美術の可能性」 多胡宏、三輪途道対談(定員20名、要事前申込み)
● 9/23[土]13:30ー15:30 インクルーシブアートコーディネーター学習会&研究会
共生感覚と遊び開発について、出品作家と群馬大学教員が語り合う。
● 9/24[日]13:30ー15:30 「みんなとつながる上毛かるた」の体験会(参加自由)
● 9/17[日]、9/18[月・祝]、9/30[土]10:00ー12:00 対話の鑑賞会(各定員20名、要事前申込み)

(事前申込みが必要なもの) 終了しました



コントンプロジェクト – CONTON Project

 コントンプロジェクトは、中之条ビエンナーレの中之条町五反田伊参交流館(旧伊参幼稚園)の遊戯室でくりひろげる感覚開発と遊びにフォーカスした新たなチャレンジをするプロジェクトです。
 ここでは、6っの斬新なプロジェクトが進められ、それぞれが独自な活動と制作をすすめつつも、互いに影響しあい、絡み合いながら全体が構築されます。
 群馬大学共同教育学部美術教育講座(中之条芸術大学)の学生たち、5人のさまざまな素材を操るアーティスト、企業の地域共生部の方々、一般社団法人のスタッフなどなど多彩な人材が集結してこの場をつくりあげます。
pj-1. 群馬大学共同教育学部美術教育講座学生(中之条芸術大学/郡司明子)による感覚共生ゲーム開発 PLAN:足裏感覚で誘導をテーマに検討中
pj-2[thema/木、触から](林耕史) PLAN:木片を使って身体に置き換える
pj-3[thema/石、触から](斎木三男) PLAN:石材に絵柄、文字を掘り込み質感を楽しみ遊び方を探る
pj-4[thema/音から](多胡宏+学生) PLAN:中之条の音つくりから遊びを導く
 2023年6月29日(木)音の出る「かるた」ワークショップ
pj-5[thema/香、匂いから](カナイサワコ) PLAN:匂いのイメージ、記憶の採取
pj-6[thema/「みんなとつながる上毛かるた」開発](三輪途道+JINS+メノキ+学生 共同開発)
   PLAN:三輪途道作品「手でみる上毛かるた」を型取り制作、遊び方を研究、カルタ遊びのWSを実施

MENOKI x JINS ミルミル「みんなとつながる上毛かるた」
※「ミルミル – みんなとつながる上毛かるた」は、一般社団法人メノキと株式会社ジンズがくり広げる共生アート活動です。




林 耕史 展「月が眠る山2023」 風景に溶け込む新たな彫刻の「場」

「月が眠る山」は,地元の伝説から得たイメージを彫刻にしたものです。「山の上庭園」の私の彫刻たちは,青空の下,森と草花と共に四季折々の彩りの中に佇んでいます。
2023年、新たな彫刻が仲間になりました。彫刻の中を歩きながら,ふれながら,そして耳を傾けながら,私の彫刻を感じてください。はやし・こうし 1960年、長野県生まれ。信州大学卒業、上越教育大学大学院修了。彫刻制作と美術教育に取り組む。現在,群馬大学教授・国画会会員
■会場/日時 中之条山の上庭園 中之条町入山4046-2  (山の上庭園は入場無料)
     2023年 9/9(土)~10/9(月・祝) 9:00~17:00 
■連動イベント
“音にふれる/形にふれる” スモール・ライヴ・セッション2023
風を感じるように音を聴き,草花にふれるように彫刻を感じる。
青空の下,緑の中で彫刻にふれながら,音楽をお楽しみいただくひととき。
   菅生千穂(クラリネット)ほか + 林 耕史(彫刻) 
山の上庭園/林耕史彫刻展示サイト(雨天時:レストハウス・テラス)
9月16日(土)11:00~ / 14:00~ (30分程度・2回公演・入退場自由)  入場無料



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